不倫慰謝料請求のリスク
1 不倫慰謝料の請求の際に考えられる3つのリスク 2 十分な証拠の収集ができないリスク 3 支払いを受けられる不倫慰謝料が費用を下回ってしまうリスク 4 示談や判決の後に不倫慰謝料の支払いを受けられないリスク
1 不倫慰謝料の請求の際に考えられる3つのリスク
不倫慰謝料請求においては、不倫相手等に対して、数十万~300万円程度の金銭の支払いを求めることになります。
もっとも、実務においては様々な要因により、慰謝料の支払いを受けられない可能性や、逆に損をしてしまう可能性もあります。
予めどのようなリスクが存在するかを把握したうえで、不倫慰謝料請求の検討をする必要があります。
代表的なリスクとしては、次のものが挙げられます。
①十分な証拠の収集ができないリスク
②支払いを受けられる不倫慰謝料が費用を下回ってしまうリスク
③示談や判決の後に不倫慰謝料の支払いを受けられないリスク
以下、それぞれについて詳しく説明します。
2 十分な証拠の収集ができないリスク
不倫慰謝料の請求をする前提として、不貞行為の存在を証明できる証拠を集める必要があります。
十分な証拠を取得する前に不倫慰謝料の支払いを求めてしまうと、その後の証拠の収集が困難になってしまうことがあります。
不倫をした側は、スマートフォンの中に入っている写真やメッセージなどを消去する、不貞行為を一時的にやめて不倫の現場を押さえられないようにするなどの対応をする可能性があるためです。
3 支払いを受けられる不倫慰謝料が費用を下回ってしまうリスク
不倫慰謝料の請求を弁護士に依頼する際には、弁護士費用が必要となります。
一般的には、着手金および成功報酬金として数十万円程度かかります。
専門業者に証拠の収集を依頼した場合には、その費用もかかります。
不倫慰謝料請求で支払われる金額の相場は、低い場合は数十万円程度です。
不倫慰謝料の請求に着手する前に、支払われる金額の見通しをたてておかないと、支払いを受けられる金額よりも、不倫慰謝料請求にかかる費用が大きくなってしまうことがあります。
4 示談や判決の後に不倫慰謝料の支払いを受けられないリスク
不倫慰謝料の交渉が成立した場合には、慰謝料の金額や支払期限等を記載した示談書を作成します。
しかし、現実には、示談書に書いてあるとおりに支払いを受けられないということもあります。
慰謝料の支払いを受けられない場合、示談書を証拠として訴訟を提起し、判決を取得して強制執行を行うことになります。
公証役場において、強制執行認諾文言付き公正証書で示談書を作成していた場合は、判決を取得することなく強制執行が可能となります。