不倫慰謝料と離婚に関するQ&A
Q離婚の有無は慰謝料の金額に影響しますか?
A
配偶者の不倫が原因となって離婚にまで至った場合、離婚に至らなかった場合に比べ、不倫慰謝料は高くなる傾向にあります。
不倫慰謝料は、不倫をされた配偶者が有する、平穏な夫婦生活を送る権利が侵害されたことに対して発生する損害賠償金です。
ひとつの考え方として、平穏な夫婦生活を送る権利の侵害の程度に応じて不倫慰謝料は変わるといえます。
離婚に至ったということは、平穏な夫婦生活を送る権利が完全に失われたと評価することができますので、権利侵害の程度は大きく、慰謝料も高くなると考えられます。
Q離婚後に不倫が発覚した場合の慰謝料請求は可能ですか?
A
離婚後に不倫があったことが判明した場合であっても、一定の条件を満たしていれば、不倫慰謝料の請求をすることはできます。
まず、離婚をした際に、離婚協議書に清算条項を定めてない場合でないと、不倫慰謝料の請求は困難になります。
清算条項とは、離婚に関して、離婚協議書に記載したもののほかに、お互いに債権債務がないことを確認する旨を記載したものです。
示談などでも広く用いられているものであり、後になって何らかの理由をもって請求のし合いが続いてしまうことを防ぐ目的で定めるものです。
そのため、清算条項がある場合には、本当は不貞行為が存在していたとしても、離婚後に不倫慰謝料を請求することはできません。
次に、不倫慰謝料の請求権の消滅時効が完成していないという条件を満たす必要があります。
一般的に、不倫慰謝料の請求権は、不貞行為の存在および加害者を知った時から3年間で消滅します。
最後に、前提として不貞行為の存在を証明できる証拠を取得できている必要があります。
仮に不倫慰謝料の支払いを求めて訴訟を提起したとしても、不貞行為の存在を証明できる証拠がない場合、原則として請求が認められることはありません。
そのため、証拠がない場合には、示談交渉においても、相手が不倫慰謝料の請求に応じるとは考えにくいと言えます。